賃貸住宅といえば、以前は高齢者にとっては利用しにくいものというイメージがありましたが、最近は事情が変わってきています。というのも、かつてはメインの利用者であった一人暮らしの若者が少子高齢化によって減少したため、顧客としての高齢者の重要性が高まってきたからです。物件オーナーも、家賃保証会社を活用して連帯保証人がいなくても部屋を借りられるようにするなど、高齢者が利用しやすい環境を整えるようになってきています。物件のバリアフリー化も、そうした施策の1つに数えられます。

住宅のバリアフリー仕様はこれまではもっぱら持ち家に適用されてきましたが、近年では稼働率の向上を目指して賃貸住宅にも適用されるようになってきています。バリアフリーとは、高齢者や身体に障がいを持つ人でも安全に生活できるよう、社会のさまざまな場所にある障壁を取り除くことをいいます。点字ブロックや音の出る信号機など、公共空間への導入が先行していましたが、私的な空間すなわち住宅内でも整備が進んでいます。居室間の段差を解消する、階段や廊下、トイレなどに手すりを取り付ける、エントランスに車椅子用のスロープを設ける、などが住宅のバリアフリー化の具体的な例となりますが、こうした仕様を賃貸住宅に採用すれば、高齢になって足腰の衰えた人なども安心して入居できるようになります。

それが稼働率の向上につながれば、物件オーナーにも経済的な利益をもたらします。