近年では、個人住宅にリフォーム工事を行ってバリアフリー仕様にする例が増えてきています。高齢者が自宅で転倒などの事故に遭うケースは意外と多く、時には重大な結果を招くこともあります。しかしリフォームによって事故の原因となり得る要素を取り除けば、高齢者自身が安心して日々を過ごせるようになるばかりでなく、同居する家族の心配や介護の負担も減らすことができます。住宅におけるバリアフリーの例としては、居室間の段差をなくす、トイレや浴室などに手すりを取り付ける、床材を滑りにくいものに交換する、などを挙げることができます。

こうした工事を施せば、体力的な衰えから足腰に不安を抱えている人でも、屋内での移動がスムーズになります。また、冬期などにおいては居室と浴室の温度差が大きいと心臓に負担がかかり、いわゆるヒートショックを引き起こすおそれがありますが、浴室や脱衣室に暖房を設けることでこうした危険を防ぐという工事もよく行われます。住宅のバリアフリー化は、個人住宅ばかりでなく賃貸物件においても普及が進んでいます。これは、高齢になっても賃貸暮らしを選択する人が増えてきた現状に対応した動きで、誰でも安心して暮らせることを一種のセールスポイントにする傾向も見られます。

具体的な工事内容は前述の個人住宅における例とほぼ同様ですが、エントランス部分にスロープを設けたり外階段にも手すりを取り付けたりと、賃貸住宅ならではの工事もあります。